万象我師②
自然は真理の百科事典、書籍はそのインデックスである。万象は真理の顕現であり、芸術の開花である。目を開いてこれを見、口をすすいでこれを味わい、 心を空にしてこれに対するとき、興味津々
地上は喜びの楽土と変ってくる。
古人は言った、「万象是我師」と。まじめにこれに師事して尋ねる人には、正しく答えてくれる。昔の人は天を父、地を母とよんだ。父母は子の求めには、何物をも惜しまず与える。与えられぬのは、ま心からこれを求めないからである。この求め方を教えるのは古の哲人であり、今の学者であり、これを伝えたのが書籍である。
だから、書籍は、これを暗記していたところで、それはインデックスを覚えているにすぎぬ。学問は信じ過ぎるも愚かであり、けいべつするも馬鹿である。
「太上は天を師とし、其次は人を師とし、其次は経を師とす。」(『言志録』)