子女名優②
だから子供が手に負えぬ、悪くて困るという時、その原因はことごとく両親にあると知って、自分を改め、夫婦が明朗愛和に帰る時、子供たちには指一本ふれず、一言も言わなくとも、りっぱに直ってしまう。風がたてば、さわさわと音をたてて騒いでいた竹林が、風の止んだそのしゅん間、すっかり静まってしまうように。
子供自身に、あらわれた病気でさえも、例外なく、親の生活の不自然さが反映したままである。これを知ったら、世の人々は、どれほど驚くことであろう。又どれほど安心することであろう。こうした事が、うそかまことか、それは人に聞くまでもない。子を持つ世の親たちは、自分自分のこれまでの生活と、子供たちの性質なり、することなりを、静かに観察すれば、はっきりすることである。
親たちは上べを飾り、人前をつくって上品に暮らしていても、子供たちは、堂々と、つつみかくしなく、親の心を実演する。家は、その小さな名優の舞台である。