「信念は 自分だけ、こっそりとよいことをやっているだけでは、本当に強く、固く身に付くものではない。
これはいわゆる陰徳というのとは違うけれども、人のためにすすめ、その人が実践してその結果を示してくれることによって、たとえようもない喜びの中に、自分の信念が深まる、返ってくる。
ここに説明しがたいほどの妙味があるのである。ーー中略ーー
人にすすめるほどでなければ本当のことは解らない、と言ってもよい。分かっているから進めるというのではなく、すすめている内に分かってくるのである。筆者にも経験があるが、学校の授業などもそうである。
先生だからと言って、そう分かっているのではない。生徒や学生に教えているからますます分かってくるのであって、そのことについての信念も、そこから身にそなわってくる。教えるは教わるなり、である。
分かっているから教えるという事ではなく、教えることを通じて共に学んでいるうちに、本当のものが分かってくるのである。」