小林佳弘様、本日の講話ありがとうございました。
「郷土史と町おこし」というテーマから、磐田倫理法人会の中でも興味のある方は多かったのではないでしょうか。小林講師が磐田市生まれということもあり、地元の歴史にまつわる話しを聴けるものと思っていたところ、「いわれや伝承にはウソが多いんです」。と講師。
由緒ただしき・・というイメージのお寺の名前の由来も、創造されたものが少なくないというのは衝撃でした。
まことしやかに伝えられ万人が「そういうものだ」と信じているものでさえ元々の起こりが違い、まして尾びれ・背びれがついてそれが真実のように伝わってしまう。
会長が相手をほめる実習時に「嘘からでたまこと」と言っておりましたが、その力の最たるものだと感じます。真実ではない事柄を後付けで最もらしく創作し、それを事実とすべくに歴史を重ねてゆくうちに、それが疑いもない真実として実際のものとなる。
思い込みというと言葉が良くありませんが、信じるということはすごい力ですね。
子供の頃から夢はプロ野球選手だったという人がいますが、プロ野球選手になる!と思い続けてきたからこそなのかもしれません。
高い理想を掲げたところで、その全てが実現するとは言いません。しかし夢を叶えた人は皆、自分を信じ、すべからく高い理想を掲げ続けてきた人なのではないでしょうか。歴史から学ぶものは色々ありそうです。
思えば、現在は様々な形で地方が注目され町おこしとして盛んに行われています。
グルメであったり、歴史に基づく世界遺産への登録であったり、ゆるキャラを作ってみたり・・
私事ですが、先日のお盆時期に神奈川県横須賀市へ帰省しました。米軍基地の近辺という土地柄、アメリカ海軍の多い土地柄でしたが、今ではそれがSNS で容易に拡散され、大々的にイメージがアピールされ、ネイビーバーガーや横須賀海軍カレーなるものを町中で売り出し、集客をはかっていました。以前はそんなものはひとつも存在しなかったので、これも横須賀ならこうだろうという雰囲気を利用した町おこしでしょう。それが数十年後には実際の町の歴史として残っていく。面白いものですね。
歴史というのは、時代ごとの経済活動と密接に結びついて、創られ・語られ・そして真実となる一面があるように思います。売れないものを売れるように、過疎地を観光地に、お寺の格式が上がるように。そのような思いを纏って歴史の1 ページが作られるような気がします。
浜松市を見てみましょう。有名なのは鰻です。産卵期前の秋冬が旬の鰻を夏場に売るべく平賀源内が知恵を絞った話が知られ、現在は土用の丑の日に食べるものとして定着し、それが生活に組込まれて現在に至っています。もっとも本日の話を聴いた後ではこれも「真実かな?」と疑ってしまいますが・・
情報が溢れる現代において、正しいものを取捨選択して、自分の頭で考えて正しい判断に辿りつく必要性を内包したような、本日のすばらしい講義でした。