十一 物はこれを生かす人に集まる

万物生々④

一方、欲がなければ金銭にめぐまれぬという事も、一応考えられる事である。なるほどごう欲な人は金をためる。しかし金の為に、その人は幸福になったか、苦しむ事はなかったか。人からの恨みによって不幸に陥らなかったか。世にそうした不浄な金のために苦しむ実例は多い。

ほんとうに身につく金銭を得る人は、無欲の人である。大事業家は、無欲の人である。事業は欲心で左右されるものではない。ただせずにおられず、仕事そのものがすでに無上の喜び、無限の恵みであって、歓喜にみちて働く、そこに事業はおのずから成功し、金銭は自然に集まるのである。

二宮尊徳先生が、弟子に示したたらいの水の例話のように、欲心を起して水を自分の方にかきよせると、向こうににげる。人にためにと向こうにおしやれば、わが方にかえる。金銭も、物質も、人の幸福も亦同じことである。

物はこれを愛する人によって生み出され、これを大切にする人のために働き、これを生かす人に集まってくる。すべて生きているからである。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

コメント

コメントする

目次