子女名優①
子供は親そのままである。顔形から、身ぶりから、言語の言いぶりから、くせに到るまで・・・。
どんな上手な彫刻家も、これはどううまく似通った肖像を制作することは出来ない・・・と思われるほどよく似ている。
ここまではだれでも知っている。けれども、親子はまだまだ思いも及ばぬところまで、同じであることには気がつかぬ。
生まれて間もない子供でも。母親が忙しい時には心が落つかず、両親に心配事があるとよく眠らぬ。大きくなるにつれて、両親がその年頃にした通りの事を繰り返す。又今している事を行ない、心に思っている事でさえ、そのまま親の身代りに実演する。
こうしたことは、これまで心理学者も教育学者も全く知らなかった。そのためにどれほど子供に無理を言い、その個性を摘み取り、希望の芽生えを焼か枯らしたか知れぬ。子供の体質も、体質も、性質も、ことごとく両親にこれをうけ、くせも、日々の行ないも、十二三歳までは、全部両親の心行ないの反映である。(時によると、祖父母や、学校の先生や、その外の人達の影響もあるが)。